父のスピード。

『歳をとって高級なスポーツカーを買う人は、昔徒競走が遅かった人が多い。』

日曜の朝、のんびりラジオを聴いていて耳にした言葉だ。ふぅんと軽く聞き流しながら、私は父のことを考えていた。

アラフィフと呼ばれる年齢の私の父は、車やバイクが好きだ。今乗っている車も、高級車と呼ばれる部類に入る。らしい。その車を改造して、一般道では使わないようなスピードが出るように設定している。なおかつ、一般道でもスピードを出したがる。たまに、ジェットコースターに乗っているときのように、体が後ろに持っていかれることがある。

そのスピード狂は車だけにとどまらない。通勤に使うママチャリでも、信じられないようなスピードを出す。坂道では、信じられないくらい減速する。ご飯を食べるのも、ものすごく速い。

間違いない。父はよっぽど足が遅かったのだろう。その遅れを取り戻すかのように、車や自転車でスピードを出したがるのだ。

そしてその足の遅さは、息子の私にも受け継がれている。徒競走ではもちろん最下位だったし、全員リレーではみんなから疎まれる存在であった。

そんな私は、将来どうなるのだろう。車やバイクには興味がないし、普段の移動は徒歩がメインだ。もしかしたら、ものすごく早歩きになるのかも。いや、それはないか。

何はともあれ父よ、一般道でスピードを出しすぎるのはやめてくれ。同乗者は冷や汗が止まらない。

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